あの日から五十年の歳月がたちました。
あの炎の嵐の渦巻く大空襲の日とはうって変って
今日の吾妻橋はおだやかな春でした。
吾妻橋の上から兄達と凧あげをして遊びまわった駒形橋もみえました。
戦争の事を振り返る暇も無く前を向いて懸命に生けて来た日々が
愛おしく想えました。
厩橋、両国橋を経て娘達が結婚式をあげた東京ベイブリッジのある川下へ
この水がつながっていたおかげです。

春のうららの隅田川
のぼり下りの舟人が…

思わず口ずさみたくなるような春風のそよぐ橋を渡たりました。
父とよく手をつないで吾妻橋を渡ったものでした。
ボートの早慶戦や寒中水泳もここで見物したのを覚えていました。
川上の方をみると東武線の為の橋がみえました。
そのむこうが炎の橋となった言問橋なのです。
私は感慨無量になりました。


08

吾妻橋より言問橋を望む