「あったl 」 と独りで思わず歓声をあげてしまいました。
川幅三十メートル位に思える小さな川にかかる 可愛い橋でした。
橋の名も「枕橋」とかいてあり幻の橋にふさわしい良い名だと思いながら
橋のたもとを見回すと細い桜の木が植えであって七分咲きに花をつけていました。
私と記念写真を撮りました。
なんと橋のむこう側には茶店まで出ていました。
川には船が二、 三そう休んでいてのどかにゆれていました。
久しぶりにとても幸せな気持になって橋を渡りました。

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B29 に総攻撃を受ける言問橋〈昭和20 年3 月10 日〉


これも後にわかった事で今 は橋の上に高速道路がかかり
その面影もないのですが円生の落語「百年目」に生き生きと語られております
「柳橋を出て吾妻橋を渡り枕橋を渡って…」と渡し船で昔文人たちが通う
艶っぽいところだった様子です。
昔はこの小さな川から隅田川に出る角に立派な八百松という料亭があったそうです。
風流な光景が想像されます。
戦火の夜、私達を恐怖から守ってくれた桜の木を探しました。
この辺りかと思われるところに何人かの人がもうお花見を始めていました。
今も変わらない下町らしく季節を楽しむ気風を羨ましく思いながら
私は静かに対岸の景色を眺めました。


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平和を取り戻した炎の橋(言問橋)